大学内における新型インフルエンザ発症者データを用いた感染症伝播の数理的研究

 2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1型)の世界的流行は社会的に大きな注目を集め、感染症を予防し適切な治療体制を整備することがいかに困難であるかを身近な例として示しました。将来的に新たな感染症が発生・流行する可能性を見据えて、感染拡大を未然に防ぎ、感染による被害を最小にするための方法論を確立することは急務の課題です。そのためには、まず感染症伝播の動態を十分に理解する必要があります。  理論疫学においては、感染症伝播を記述する数理モデルが広く用いられ、隔離やワクチン接種等の疫学的介入の効果を推定し、適切な感染症対策への示唆を与えてきました。しかし従来の数理モデルは人々の接触が空間的に均一であることを想定したものがほとんどです。より現実的な状況に対応するため、人々の不均一な接触パターンを想定し、感染拡大が広まるかどうかの流行閾値を左右する要素を調べることは、適切な感染症対策を提示するために必要だと考えられます。  そこで、東大保健センターで収集した新型インフルエンザ発症者の報告データを用いて、より現実的な感染症の数理モデルの発展に取り組みます。報告データは個人を特定できないように匿名化を行ってから、(新規)感染者数のデータを集計し、その数値をプログラムやソフトウェアによって解析します。  本研究で得られた結果は、学会や論文誌等で発表する予定です。この研究によって感染症の動態の理解が進み、大学内における流行を抑えるための効果的な対策立案につながると考えられます。  このことにつきまして、学生・教職員の皆様のご理解とご協力をいただけますよう、お願い申し上げます。 平成22年2月 保健・健康推進本部 本件担当者:保健・健康推進本部 柳元伸太郎 電話:03-5841-2575

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