コロナ禍前後における医療従事者の健康指標の変動の調査および新規評価法の開発

 新型コロナウイルス感染症の蔓延(コロナ禍)により、医療現場の様相は大きく変化しています。医療従事者は新型コロナウイルス感染者のケアに直接従事するだけでなく、潜在的な感染者と接するリスクが高く、院内感染予防対策のために細心の注意を払う必要があります。コロナ禍により医療従事者は大きなストレスのもとでの勤務を強いられており、これが心身の健康状態を悪化させる要因となっている可能性があります。また在宅勤務の拡がりや外出自粛により、運動・食事などの生活習慣の変化が生じ、高血圧・糖尿病・脂質異常症、さらには脳血管障害や虚血性心疾患のリスクを上昇させている可能性があります。

 本研究では、コロナ禍前後における東京大学構成員の健康診断(健診)データを解析対象とし、その経時的な変化を評価します。医療従事者として、東京大学医学部附属病院(東大病院)の教職員の健診データを解析対象とし、さらに比較解析の対象(医療従事者でない教職員)として、東京大学の他部局の(東大病院以外の)構成員の健診データも解析します。心身の健康状態の指標の変化を同定し、その変動要因を探索することにより、健康増進に向けてフィードバックできるような知見を得ることを目的とします。さらに本研究では、時系列データ分析において深層学習の手法を活用し、健康状態の定量的・経時的変化の新しい評価システムの確立を目指します。

 新型コロナウイルス感染症の克服に向けた医療体制の構築のため、医療従事者の健康管理はその前提となる重要課題です。本研究により、ポストコロナ社会における国民の健康増進にむけて、大きな示唆が得られるものと期待されます。

 本研究は大学の倫理委員会の承認のもとに実施し、個人情報の保護を遵守します。健診データは匿名化され、個人が特定されない形で集計および解析が行われます。本研究で得られた結果は、学会や学術雑誌等で発表する場合がありますが、匿名化されたデータを解析した結果を公表するので、個人が特定されることはありません。プライバシーは完全に保護されます。

 この研究に関して質問がある場合、同意しがたい事項がある場合などは、その旨を保健・健康推進本部までお申し出ください。お申し出のない場合は、同意されたものとして取り扱わせていただきます。研究にご協力いただけない場合も、不利益につながることはありません。

 皆様のご理解・ご協力をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

 

連絡先:東京大学保健・健康推進本部 齋藤朗(電話 03-5841-2583