東京大学の健診胸部エックス線画像の畳み込みニューラルネットワークを用いた解析

 深層学習と呼ばれる、人工知能を用いた画像認識技術が近年向上しています。健康診断で撮影される胸部エックス線画像も、深層学習によって解析することで、正常・異常の自動的な判定が、技術的に可能になるものと期待されています。このような技術が実用化されると、医師による画像読影の労力やコストが軽減され、これまで以上に診断の精度が向上し、検査を受ける方へのメリットが広がると考えられています。

 深層学習による胸部エックス線画像の判定モデルを構築するためには、多数の画像データをコンピューターに学習させる必要があります。本研究では、本学における健康診断で撮影された胸部エックス線画像データを活用します。

 深層学習による解析は奈良先端科学技術大学院大学・データ駆動型サイエンス創造センターで行われます。具体的には、畳み込みニューラルネットワークという手法で、胸部エックス線画像の診断支援技術の開発を試みます。

 解析のために、保健センターが保有する胸部エックス線画像データを奈良先端科学技術大学院大学に提供します。このデータには、写真番号・撮影日・年齢・撮影時のコメント(例えば、「アクセサリを装着」など)、も記載されていますが、提供先において個人を特定することはできません。

 本研究の成果として、胸部エックス線検査における画像診断の効率や精度の向上に役立つ可能性があります。さらに本学の学生や教職員の健康に資するのみならず、広く国民の健康増進に貢献できる可能性があります。

 本研究は大学の倫理委員会の承認のもとに実施し、個人情報の保護を遵守します。本研究では、健康診断データは匿名化され、個人が特定されない形で集計および解析が行われます。

 本研究で得られた結果は、学会や学術雑誌等で発表する予定です。匿名化されたデータを解析した結果を公表するので、個人が特定されることはありません。プライバシーは完全に保護されます。

 この研究に関して質問がある場合、同意しがたい事項がある場合などは、その旨を保健・健康推進本部までお申し出ください。お申し出のない場合は、同意されたものとして取り扱わせていただきます。研究にご協力いただけない場合も、不利益につながることはありません。

 皆様のご理解・ご協力をいただけますよう、よろしくお願い申し上げます。

連絡先:東京大学保健・健康推進本部(電話 03-5841-2583) 齋藤朗