日本の動向

I-2) 日本の動向

1.はじまり
 本邦においては、2020116日に武漢市より帰国した男性に初の感染が確認されました。その後、武漢からのチャーター便による日本人帰国者などに感染が散見されるようになります。25日、横浜港に停泊していたクルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」にて、集団感染が確認され、水際対策として、全乗客が船室隔離されました。最終的に、乗客と乗員の全て(3711名)に対しPCR検査が実施され、696名が陽性となります(ただし、WHOによる各国の発生状況の報告においては、日本国内の発生件数とは別に取り扱われています)。31日には、すべての乗客・船員の下船が完了しました。

 政府は、27日、新型コロナウイルスによる肺炎などを「指定感染症」と定め、これにより新型コロナウイルスと診断された方を、強制的に入院させることができるようになりました。同時に「検疫感染症」とする政令が施行され、中国湖北省からの外国人が入国拒否されることとなりました。また、225日には、厚生労働省内にクラスター対策班が設置され、1人の感染者から大勢の人に感染するクラスター(感染者の集団)を制御することで、感染の制圧を目指す方針を取りました。

2.感染拡大から緊急事態宣言
 2月の中旬以降、屋形船、ライブハウス、スポーツジムなどといった場所でのクラスター感染が報告されるようになります。クラスター対策の効果もあり、1日の発症者数の増加は比較的緩徐でした。一方、諸外国と比較し、PCR検査数を制限することの是非が議論されるようになりました。大規模イベントの自主的な自粛なども行われるようになりましたが、一方で320-22日の三連休には、桜が見頃を迎え、多くの人が花見を楽しむ様子も報道されました。

 3月下旬以降、日本の新規感染者数は、指数関数的に増加を始めます。感染経路の不明な方の割合、若年者の割合が増加してきたことも特徴です。特に東京などの都市部においてはその傾向は顕著で、都知事は週末の外出の自粛を要請するようになります。また、41日 水際対策が強化され、中国全土や米国を含む49ヶ国が入国拒否対象地域となりました(55日現在 87か国・地域)。47日、東京、大阪など7都府県において緊急事態宣言が発令され、不要不急の移動や外出の自粛が求められることになりました。16日、対象地域が全都道府県に拡大されました。

3.緊急事態宣言解除
 4月上旬から中旬には、全国で500-700名/日、東京で150-200名/日の新規感染者数が報告されます。それ以降は緩徐に新規感染者数が減少傾向に転じるようになってきますが、4月末の時点で、全国で200-300名/日、東京でも50-100名/日の新規感染が報告されます。54日、政府は、全都道府県への緊急事態宣言の延長を決定します。また、1都3県では、STAY HOME週間を標語とし、大型連休中の外出自粛が改めて強く呼びかけられました。以後も、新規の感染者数は減少傾向を維持し、514日に、北海道、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、京都府、大阪府及び兵庫県の8都道府県を除く39県について、緊急事態宣言が解除、525日に全国にて緊急事態宣言が解除されました。5月下旬には、全国で20-30名程度/日、東京でも10名以下/日の日も認められました。WHOも25日の会見にて、今後も引き続き基本的な措置の継続は必要であるものの、日本は封じ込めに成功したと評価しました。

 しかしながら、6月になり特に東京において新規感染者数が増加傾向となっています。当初は院内感染の他、夜の繁華街に関連した感染が目立っていましたが、次第に感染経路不明の患者数が増加し、710日には東京で過去最多の243人の新規感染が確認されました。経済活動を維持しながら、いかに新規の感染者を減らしていくか、我々は難しい選択を迫られています。

 以下は、本学保健・健康推進本部の八尾厚史講師による考察を交えた解説(416日時点の内容)となります。是非ご一読ください。
https://www.hc.u-tokyo.ac.jp/ver2019/ja/wp-content/uploads/2020/04/009873265004.pdf