大学キャンパス感染症の疫学的解析

【本研究は予定の研究期間を終了しました。ご協力ありがとうございました。】

2009年の新型インフルエンザ(A/H1N1型)の世界的流行は国内でも感染拡大が起こり、大学内でも学生・職員に多数の感染者が出ました。東京大学では2007年は麻疹、2008年は百日咳が主に駒場のキャンパスを中心に流行し、感染症の予防やサーベイランスの重要性が認識されています。これらヒトからヒトへ感染する疾患は予防接種で防止できるものとまだ予防接種体制が不十分のため、これからもキャンパスで流行する可能性のある感染症が存在しています。また百日咳の成人での診断の困難さなど、臨床的に未解決な課題が多く残されています。将来起こりうる高病原性のインフルエンザ感染症をはじめ未知の病原体による感染症の発生・流行への対策としてもこれら既存の疾患に対する臨床疫学的解析は今後の感染症対策にとっても重要と考えられます。 そこで、私たちは東大保健センターで収集したこれまでの麻疹・百日咳・インフルエンザ感染者のデータの疫学的解析を行うことによりキャンパス内での感染拡大を防ぐために最も有効な介入策を検討します。また今後キャンパスにおいて流行のみられる既知あるいは新規感染症に関しても同様な解析を行います(平成22年10月―平成26年9月)。報告データは個人を特定できないように匿名化を行ってから、(新規)感染者数のデータを集計し、その数値をプログラムやソフトウェアによって解析します。 本研究で得られた結果は、学会や論文誌等で発表する予定です。この研究によってそれぞれの感染症の臨床疫学上の理解が進み、大学内における流行を抑えるための効果的な対策立案につながると考えられます。 このことにつきまして、学生・教職員の皆様のご理解とご協力をいただけますよう、お願い申し上げます。
平成22年10月 
保健・健康推進本部 本件担当者:保健・健康推進本部 石川隆 電話:03-5454-4936