血液検査(血球検査)

■血液検査(全血球計算)

静脈から採血し、抗凝固剤(EDTA塩)を加えた血液を自動血球計数器にかけて、単位容積(μl=mm3)あたりの血球数を測定します。

赤血球(RBC)

赤血球は肺で取り入れた酸素を全身に運び、不要となった二酸化炭素を回収して肺へ送る役目を担っています。赤血球の数が多すぎれば多血症、少なすぎれば貧血が疑われます。貧血についてはヘモグロビン検査と兼ね合わせて判断します。

基準範囲  男性…430〜570 (104/μl)

      女性…380〜500 (104/μl)

東京大学保健・健康推進本部は基準範囲を上記としています

血色素(Hb)(ヘモグロビン)

ヘモグロビンとは、赤血球中の大部分を占めている血色素のことで、ヘムという色素とグロビンというタンパク質からできています。赤血球中のヘモグロビンは、酸素を体内の組織に運び、かわりに二酸化炭素を受け取って肺まで運んできて放出し、再び酸素と結びついて各組織に運ぶという重要な働きを担っています。減少している場合、鉄欠乏性貧血、消化管・尿路系などからの出血も考えられます。

 

検査会社
基準範囲

(g/dl)

健康診断判定基準

異常なし

軽度異常

要再検査・生活改善

要精密検査・治療

A

B

C

D

男性

13.5〜17.5

13.1〜16.3

16.4〜18.0

12.1~13.0

12.0以下、18.1以上

女性

11.5〜15.0

12.1〜14.5

14.6〜16.0

11.1〜12.0

11.0以下、16.1以上

 

ヘマトクリット値(Ht)

ヘマトクリット値とは、血液中に占める赤血球の全容積を%表示した値です。ヘマトクリット値が低ければ、血液が薄いということを意味しているので、貧血が疑われます。逆にヘマトクリット値が高ければ、血液は濃く流れにくく詰まりやすくなる多血症が疑われます。脱水症などでも高値を示します。

基準範囲  男性・・・39.7〜52.4(%)
      女性・・・34.8〜45.0(%)

東京大学保健・健康推進本部は基準範囲を上記としています

白血球(WBC)

白血球は細菌などから体を守る働きをしています。
数値が高い場合は細菌感染症にかかっているか、炎症、腫瘍の存在が疑われますが、どこの部位で発生しているかはわかりません。たばこを吸っている人は高値となります。少ない場合は、ウィルス感染症、薬剤性の白血球減少、再生不良性貧血などの病気が疑われます。また、生まれつき白血球数が低めの人もいます。

 

検査会社
基準範囲

(/μl)

健康診断判定基準

異常なし

軽度異常

要再検査・生活改善

要精密検査・治療

A

B

C

D

3,300〜9,000

3,100〜8,400

8,500~8,900

9,000〜9,900

3,000以下、10,000以上

 

白血球分画(白血球像、白血球百分率)

正常な白血球は、好中球、好酸球、好塩基球、単球、リンパ球の5種類に分けられます。好中球は核の形によって、さらに分葉核球と桿状核球に分けられます。この各白血球の種類が、白血球全体に占める割合を白血球分画といいます。白血球の種類によって、働きが異なります。このため原因によって、異なる白血球の種類が増えたり減ったりすることがあります。白血球数に問題がなければ白血球分画が多少基準範囲をはずれていても異常とは判断しない場合が多いです。

基準範囲  好中球・・・40.0〜75.0(%)(分葉核球 34.0~70.0(%)、桿状核球 1.0~7.0(%))
      好酸球・・・0.0〜8.0(%)

      好塩基球・・・0.0〜2.0(%)
      単球・・・2.0〜10.0(%)

      リンパ球・・・18.0〜49.0(%)

血小板数(PLT)

血小板は、出血したとき、その部分に粘着して出血を止める役割を果たしています。数値が高い場合は本態性血小板血症などが疑われ、低い場合は再生不良性貧血などの骨髄での生産の低下、特発性血小板減少性紫斑病などの免疫の異常、血小板の再生を促すトロンボポエチンの低下なども考えられます。

 

検査会社
基準範囲

(104/μl)

健康診断判定基準

異常なし

軽度異常

要再検査・生活改善

要精密検査・治療

A

B

C

D

14.5〜34.0

14.5〜32.9

12.3〜14.4、 33.0〜39.9

10.0〜12.2

9.9以下、40.0以上