判定基準の考え方

検査の基準範囲(基準値)とは

検査結果は人によって一定のばらつきが生じます。しかしながら、そのばらつきも、病気がない人の95 %はこの範囲には収まる、というのが一般的な基準範囲の考え方です。ですから、はずれたからといって直ちに異常とはいえない一方で、基準範囲内であっても病気が存在する場合もあります。

これとは別に、臨床判断値と呼ばれるものもあります。これは、特定の病気のリスク評価、診断や重症度、治療状況の評価、治療目標設定のために定められたもので一般的な基準範囲とは一致しないことが多いです。臨床判断値は専門家で構成される各種学会等で議論され提唱されています。また、病気のリスク評価では単に検査結果だけではなく、個々人の年齢、性別、生活習慣、家族歴、他の検査結果等もあわせて考慮する必要もあります。

保健センターで実施している健康診断の検体検査(血液、尿、便)は外部の検査会社に測定を委託しています。検査会社毎に測定に用いる試薬、機器などの違いがありますが、関連学会、検査会社、試薬メーカー、機器メーカーなどが協議して同じ検査項目ではなるべく同じ基準範囲となるようになってきており、今日では医療機関や検査会社によって基準値が大きく変わることはなくなってきています。

各種検査の基準範囲がこのように定められていますが、健康診断では単に異常の有無を通知するだけではなく、程度に応じて、異常とまではいえないが予防的対策をお勧めする段階から、至急医療機関を受診することが望ましいような状態までを、「判定基準」を設定して各受診者にお知らせすることになります。

判定基準とは

検査会社の基準範囲と健康診断判定基準は一致しないことがあります

各検査、測定結果について、基準範囲とは別に、健康診断結果を受けて受診者に、その後とってもらいたい対応の目安を明らかにするために判定基準を設定しています。各検査グループ毎に、A([検査会社の基準範囲ではなく健診判定基準の]基準範囲内です)、B(軽度異常です)、C(要再検査・生活改善)、D(要精密検査・治療)と判定をつけます。保健センターで実施する構成員向けの健康診断もこの判定基準に沿って事後措置を行っていくことになります。各検査項目毎に検査を実施する検査会社の基準範囲も存在しますが、単なる正常、異常の判定だけではなく、予防的対策に取り組んでもらうきっかけとするなど、健康診断の重要な役割を果たすために、検体検査(血液、尿、便検査)結果の健診判定においては、日本人間ドック学会の基準に沿って判定を行っています。項目によっては検査会社の基準では「正常」とされるものでも、健診の判定としては事後措置が必要になるものも出てきます。これは、例えば、実際に糖尿病になってから「異常」という判定を付けるだけではなく、その「予備群」にも注意を促し、未病の段階で予防に取り組んでもらうことを目的としているためです。健康診断を受けたら判定や保健師、医師からのコメントなどを参考にしてご自分の健康維持、増進に役立ててください。

 

参考情報

判定区分の改訂について
2018年のものですが、個々の検査項目について改訂のプロセスが詳しく書かれていますので参考にしてください。