胸部X線検査

検査の方法・実施状況

エックス線(X線)により、胸部(主に肺、心臓、大動脈、脊椎など)を画像的に検査します。
東京大学の構成員(全教職員・学生)は、定期健康診断の中で年1回の検査が必要です。

胸部X線検査の意味

胸部X線検査では、結核、肺炎、気胸、胸水、肺がん、心肥大、大動脈瘤、側湾症、骨折などの異常が見つかることがあります。とくに、結核は集団生活で広がる可能性があり、隔離が必要な疾患です。結核でも、痰に菌が出てくる前に発見できれば、隔離することなく、内服薬のみで治療が可能です。定期的なX線検査を受けることで、結核のほか、胸部の異常を早期に発見をすることが重要です。
一方で、X線写真は一方向のみの画像で、肋骨や血管などの正常な構造の重なり合いの中で評価されるため、正常か異常かの区別がつかない場合もあります。そのため、健康診断の結果で「要精密検査」と判定された方は、明らかな異常所見以外に、異常かもしれないので念のために再度X線撮像をおすすめしたり、CT等による精密検査を勧める判定も多く含まれています。
健康診断結果を確認したら、判定指示に従って保健センターや医療機関を受診してください。

結果に受診の指示があったら

胸部X線検査の結果で「医療機関を受診してください」や、「保健センター内科を受診してください」と表示されている方は、次のとおり対応してください。ご自身の判断でどの医療機関を受診して頂いても結構です。健康診断結果を持参の上、医療機関を受診して頂き、結果は保健センター健康管理室にも報告をお願いします。(返信票をご利用下さい。)
紹介状が必要な方は保健センターにお越し頂ければ発行します。(学生、教職員とも、診療の際と同様に300円です。)

医師の説明を保健センターで聞きたい場合や、保健センター内科を受診する場合には、X線撮影が可能な日でかつ、呼吸器医師が診療にあたる日が望ましいので、日程を確認して保健センターを受診してください。(教職員は診察料がかかります。)受診の結果、外部医療機関の受診をお勧めするケースや、保健センターで胸部X線検査の再検査を行えば済むケース、外部医療機関等で、CT検査をお勧めするケースなどがあります。

*柏保健センターでは胸部X線検査は実施できませんので、検査が必要な場合は、本郷・駒場の保健センターを受診いただくか、受診後、他の医療機関をご案内いたします。

主な判定、所見とその説明

<判定>
異常なし 特に心配する所見はありませんでした。
軽微所見 例えば、古い肺炎のあとや骨折のあとなど、通常は見られない所見があるものの、詳しい検査や治療は必要ないと考えられます。
要経過観察 次回の定期健康診断も必ず受診してください。次年度以降他機関等へ異動する場合には異動先の健康診断等を受けるか、近隣の医療機関で経過観察が必要と考えられます。
要精密検査 指示に従って保健センターや近隣の医療機関を受診してください。必ずしも重大な病気とはかぎりませんが、X線写真の結果だけからは判断がつきません。

特に緊急性の高い疾患を疑う場合には、一斉の結果通知とは別に保健センターから本人に直接連絡がある場合があります。

以下の「#1」~「#3」は健康診断の種類によって通知されている場合とそうではない場合があります。保健センターで精密検査については適切に案内しますのでご相談ください。

#1の表示のあった方へ
保健センター内科にて検査を受けましょう。受診の際には、各地区保健センター健康管理室に事前にご連絡ください。
#2の表示のあった方へ
呼吸器科のある病院にて検査を受けましょう。受診の際の紹介状と胸部XPデータを有料でご用意いたしますので、事前各地区保健センター健康管理室に事前にご連絡ください。
#3の表示のあった方へ
循環器科のある病院にて検査を受けましょう。受診の際の紹介状と胸部XPデータを有料でご用意いたしますので、事前各地区保健センター健康管理室に事前にご連絡ください。
(電話番号は各地区保健センターのページをご覧ください)

要継続受診 問診などで治療中と申告があった疾患に関係すると考えられる所見を認めます。主治医とも今回の健康診断結果について相談してください。

「Web画面上の判定」のアルファベットはシステムによって表示されていないこともあります。

 

<代表的な所見> 多くはX線写真で見える陰影についての表現です。必ずしも病気の有無や診断とは直接結びつきません。
胸膜肥厚・胸膜癒着 多くは古い炎症によって生じるもので、肺を包む胸膜の肥厚や、胸膜と胸腔を囲む胸壁が癒着した結果、X線写真で該当部分に陰影が生じます。
>気胸 肺の胸膜が破れて胸腔内に空気が漏れている状態です。肺は通常より小さくしぼんで写ります。
粒状影、結節影、腫瘤影 いずれも円形〜楕円形で多くは内部が均一な陰影を指し、大きさが大きい場合を特に腫瘤影と呼んでいます。
浸潤影 結節影と比して境界が不明瞭、そして内部が不鮮明に映る陰影を指します。形状は様々です。
線状影 幅2mm未満の線状の陰影を指します。幅が太い場合や交差する複数の線状影は索状影と表現する事もあります。腫瘤の引き連れの線がX線では線状にみえることもあるので、通常の構造で説明のつかない線状影は精密検査を行うこともあります。
○○影、○○状影 X線写真の見え方を言葉で表現しているもので、病気を直接表す言葉ではありません。影の様子によって「異常なし」〜「要精密検査」まで、判定には幅があります。
胸水貯留 胸腔内で主に肺の外側に液体が貯まっている状態です。肺やその周囲の胸膜などの炎症や、心臓の機能が低下している場合に見られることがあります。
縦隔拡大

縦隔は、簡潔に表現すると左右の肺に挟まれた空間で、心臓や大血管、気管気管支、食道などが存在します。主に縦隔の上部から中部の陰影の拡大所見を指します。斜めにとれているため拡大しているように見えることもありますが、腫瘍やリンパ節の腫大を反映していることもあります。

側弯 脊椎(背骨)が弯曲しています。軽度の弯曲はよく見られます。
心拡大 X線写真に写る心臓の影が大きく見えます。極端な拡大は心臓の機能が低下している場合に見られることがあります。撮影の時に十分息を吸えなかったなどの結果として見かけ上心臓が大きく写ってしまう場合もあります。
大動脈蛇行・大動脈の石灰化影 胸部大動脈が本来の走行と比して弯曲している状態を大動脈蛇行、大動脈壁に沿って認められる石灰化を大動脈の石灰化と表現し、多くは動脈硬化性変化を指します。
陳旧性陰影 既往歴で判明していて経年変化の乏しいものを陳旧性陰影として表現します。
異物

外科手術に伴うものを除く異物を指します。多くは衣服装飾類など体外物由来ですが、判断が難しい事もあります。

「その他」 定型的に分類できない所見をまとめてあります。保健センターの医師が所見を判断していますが、詳しく説明を聞きたい場合などは健康診断結果を持参の上で保健センター内科を受診してください。

この他にも様々な所見があり、また、言葉の上では、同じ所見でも判定が同じになるとは限りません。基本的には実際のX線写真を複数の医師が確認して判定していますので、判定に沿った対応をとってください。

なお、本人確認が困難なため、個人情報保護の観点から、直接本人が相談に来てください。(電話等では十分お応えできません。)