糖代謝検査とは
糖尿病を診断するための検査です。糖尿病とは、慢性的に血糖値が高い状態が続く病気です。高血糖が持続すると全身の血管壁が傷つけられ、さまざまな合併症が引き起こされます。代表的な合併症として、糖尿病性網膜症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害があり、そのほか動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞なども関係します。糖尿病は、食べ過ぎや運動不足といった生活習慣が大きく関係する、生活習慣病の1つです。また、腎臓や肝臓、内分泌系(ホルモン)の異常によっても検査値が高い値になることもあります。本学の定期健康診断では、血糖、HbA1c、尿糖を測定しています。
血糖
血液中のブドウ糖の濃度です。食事の影響を受けるため、食前・食後で変動します。空腹時血糖(fasting plasma glucose, FPG)は、10時間以上食事をとらないで測定した血糖値です。空腹時血糖が、126mg/dL以上となると、糖尿病の可能性があります。126mg/dL未満でも、空腹時血糖値が110~125mg/dLの人は“境界型”と呼ばれ、いわゆる糖尿病予備群の状態である可能性があります。また 空腹時血糖値100-109mg/dlは基準範囲内ですが、血糖値が正常高値の人の中には、糖尿病や境界型が含まれている可能性があるので、注意が必要です。HbA1cの検査や追加の検査が望ましい場合もあります。
HbA1c
ブドウ糖が結合して変化したヘモグロビンの割合を測定しています。血糖値が高い時間が長いほど変化が生じるという性質を利用していて、過去1〜2ヶ月の血糖の平均的推移を反映すると考えられています。
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基準範囲 |
健康診断の判定基準 |
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異常なし |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
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A |
B |
C |
D | ||
FPG, 空腹時血糖 (mg/dL) |
70~109 | FPG:99以下 かつ HbA1c:5.5以下 |
1)FPG:100-109 2)FPG:99以下 1), 2)のいずれか |
1)FPG:110-125 2)HbA1c:6.0-6.4 3)FPG:126以上 4)FPG:125以下 1)~4)のいずれか |
FPG:126以上 かつ HbA1c:6.5以上 |
HbA1c (%) | 4.6〜6.2 |
尿糖
血液中の糖は、腎臓で血液から濾過される過程で水分とともに体に再吸収されますが、血糖が異常に増加して限界(腎臓の閾値)を超えると、尿糖が検出されます。一般的に、血糖値が160〜180mg/dlを超えると尿に糖がでてくると言われています。食直後に検出されることもあります。
基準値 (-)
擬陽性(±)や陽性(+)…糖尿病の疑いがあります
参考
厚生労働省e-ヘルスネット「糖尿病」
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/metabolic/m-05-002.html