肝・胆道系酵素
肝臓は①有害物質の解毒 ②栄養素の合成・代謝・貯蔵 ③胆汁の合成・代謝 などの働きをします。肝機能検査では肝臓や胆のう、胆管に異常がないかを調べます。肝臓の障害だけでなく、心臓の病気や激しい運動後に数値が上がることもあります。本学の健康診断では、AST、ALT、γ-GTP、総ビリルビン、ALP、LDHを測定しています。
AST
主に肝臓の検査ではありますが、肝臓以外でも心筋、骨格筋、腎臓などに存在し、臓器の細胞に異変が起こると数値が上がります。そのため、肝臓障害、心筋梗塞、溶血などの診断に有効な検査となっています。
検査会社 |
健康診断判定基準 |
|||
---|---|---|---|---|
異常なし |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
|
A |
B |
C |
D |
|
10〜40 |
30以下 |
31〜35 |
36〜50 |
51以上 |
ALT
とくに肝細胞の変性や壊死に鋭敏に反応するので肝臓・胆道系の病気の診断に有効な検査となっています。
検査会社 |
健康診断判定基準 |
|||
---|---|---|---|---|
異常なし |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
|
A |
B |
C |
D |
|
5〜45 |
30以下 |
31〜40 |
41〜50 |
51以上 |
ALT>30については、脂肪肝を含めた早期の慢性肝臓病の可能性があるので、自身の生活習慣を見直しながら、必要に応じて保健センターやかかりつけ医に相談しましょう。
γ-GTP
アルコール摂取量が多い時や脂肪肝があるときや、結石やがんなどによって胆管がつまったときなどに値が高くなります。
検査会社 |
健康診断判定基準 |
|||
---|---|---|---|---|
異常なし |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
|
A |
B |
C |
D |
|
80以下(男性)、30以下(女性) |
50以下 |
51〜80 |
81〜100 |
101以上 |
総ビリルビン
ビリルビンとは、血液に含まれる黄色い色素です。寿命が尽きた赤血球が破壊されるとき、ヘモグロビンはヘムとグロビンに分解され、酵素の働きでヘムとビリルビンに変化します。これを「間接型ビリルビン」と呼んでいます。このビリルビンが肝臓に運ばれ再び酵素が働いて「直接型ビリルビン」と呼ばれる物に変化し、胆嚢に貯められます。これが便の一部になったり、腎臓で尿の一部になって排泄されます。間接型と直接型を会わせて「総ビリルビン」と言います。
肝機能障害や胆管障害などがあるとビリルビンが血液中増加します。ビリルビンが多くなると、身体が黄色くなる黄疸が現れます。血液中のビリルビン量を測定することで、黄疸が出る前に障害を知ることが出来ます。
■異常があったら
肝機能検査の結果と合わせて検討し、必要に応じてさらに詳しい検査を行い診断されます。
■異常な場合に疑われる病気
体質性黄疸、慢性・急性肝炎、肝硬変、溶血性貧血、肺梗塞、敗血症、甲状腺機能亢進症など
検査会社 |
健康診断判定基準 |
|||
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異常なし~基準を外れています |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
|
A |
B |
C |
D |
|
0.2〜1.2 |
2.5以下 |
2.6〜3.4 |
― |
3.5以上 |
※日本人間ドック学会では「総ビリルビンについては中等度までは、上昇に比例して死亡率の減少、動脈硬化予防となるので判定区分を設定していない」としています。保健・健康推進本部の健康診断では上記の基準を設定していますが最終的な判定は医師がひとりひとりの結果を総合的に判断して判定を付していますので数値が高くても問題なしと判断されることもあります。
ALP
高値の場合、肝障害や胆道疾患の疑いがあります。ALPは、肝臓をはじめとしたさまざまな細胞でつくられる酵素で、胆汁中にも存在します。肝障害により肝臓内で胆汁の流れが悪くなったり、胆管に胆石などが詰まった場合、胆汁中に存在するALPが血液中に漏れ出し、数値が上がります。またALPは骨でもつくられているため、成長期の子どもや骨の病気などでも数値が上がる場合があります。
2021年度~ 実施分:IFCC法
検査会社 |
健康診断判定基準 |
|||
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異常なし |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
|
A |
B |
C |
D |
|
38~113 |
38 ~ 113 |
36 ~ 37 |
29 ~ 35、114 ~ 130 |
~ 28、131 ~ |
健康診断判定基準は基本的に日本人間ドック学会の基準に準拠していますがALPについては基準が提示されていません。東京大学の過去の検査データに基づいて上記のような基準を設定しています。実際の判定に際しては医師が個々の受診者の全体的な検査結果や過去の検査結果をふまえて判定を行います。
~2020年度 実施分:JSCC法
検査会社 |
異常なし |
軽度異常 |
要再検査・生活改善 |
要精密検査・治療 |
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A |
B |
C |
D |
|
100〜325 |
325未満 |
326〜449 |
― |
450以上 |