新しい生活様式

III-5) 新しい生活様式

厚生労働省は令和254日付で新型コロナウイルスを想定した、「新しい生活様式」を公表しています。この「新しい生活様式」とはどういった内容なのでしょうか。また、私たちはどのような観点から、従来の生活を見直さなければならないのでしょうか。

令和247日から、東京都等の7都府県に対し新型インフルエンザ等対策特別措置法第32条第1項に基づく緊急事態宣言が発出され、ついで同月16日に全国が対象とされました。これを受けて東京大学でも48日より新型コロナウイルス感染拡大防止のための東京大学の活動制限指針をレベル3(制限-大)に引き上げ、学生、教職員の皆様に授業、研究活動、課外活動などの制限やオンライン化、キャンパス内への入構制限などの対応をお願いしてまいりました。その結果、幸いにも現在の全国の感染状況について、新型コロナウイルス感染症対策専門家会議 による「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」(54日付)では、全国及び特定警戒都道府県における累積感染者数はオーバーシュートを免れ、新規感染者数は減少傾向に転じた、と評価しています。しかしながら、同時に、新型コロナウイルス感染症は全世界においてまだ感染蔓延状況が継続しており、しかも今後一定期間この状況が継続することが見込まれることも指摘し、その上で緊急事態宣言の解除後も「行動変容の要請」を続けなければならないとしました。この行動変容の日常生活における具体的な実践例として「新しい生活様式」が発表されました。

厚労省が発表した「新しい生活様式」の実践例は下記の4項目からなります。

 【1】 一人ひとりの基本的感染対策
 【2】 日常生活を営む上での基本的生活様式
 【3】 日常生活の各場面別の生活様式
 【4】 働き方の新しいスタイル

 【1】 一人ひとりの基本的感染対策

この項目では皆さん一人ひとりが日常生活において習慣的に感染防止のために心がけて頂きたい事柄が挙げられています。新型コロナウイルス感染症の飛沫感染防止の3つの基本は(1)身体的距離の確保、(2)マスクの着用、(3)手洗いです。そして具体的には、下記のような実践例になります。
・人との間隔はできるだけ2m(最低1m空ける。
・遊びに行くなら屋内より屋外を選ぶ。
・会話をする際には、可能な限り真正面を避ける
・外出時、屋内にいるときや会話をするときは、症状がなくてもマスクを着用。
・家に帰ったらまず手や顔を洗う。できるだけすぐに着替える、シャワーを浴びる。
手洗いは30秒程度かけて水と石けんで丁寧に洗う(手指消毒薬の使用も可)。
 また、高齢者や持病があるような重症化リスクの高い人と会う際には、自らの体調管理をより厳重にすることが求められています。もちろん、オンラインなどを利用し、直接会うことを控えることができればより良いでしょう。
 次に、移動に関する感染対策です。人の移動によって地域から地域へと流行が拡大することを予防する目的があります。
・感染が流行している地域からの移動、感染が流行している地域への移動は控える。
・帰省や旅行はひかえめに。出張はやむを得ない場合に。
・発症したときのため、誰とどこで会ったかをメモにする。
・地域の感染状況に注意する。
上記を実行するためには、たとえばみなさんが今後、帰省や旅行などを計画される場合は、体調管理を行った上で、日程や参加人数をできるだけ削減し計画を立てて行うことが望まれます。

 【2】 日常生活を営む上での基本的生活様式

ここでは、【1】の基本的感染対策を踏まえた上で、さらに感染予防のポイントをロゴマークで啓発しています。(上記)
・まめに手洗い・手指消毒
・咳エチケットの徹底
 咳エチケットとは、咳やくしゃみをする際、マスクやティッシュ、ハンカチ、袖、肘の内側などを使って、口や鼻をおさえることを指します。
・こまめに換気
・身体的距離の確保
「3密」の回避(密集、密接、密閉)
・毎朝で体温測定、健康チェック。発熱または風邪の症状がある場合はムリせず自宅で療養
これまでの報告から新型コロナウイルスクラスターの発生には、「換気が悪く」、「人が密に集まって過ごすような空間」、「不特定多数の人が接触するおそれが高い場所」という共通点があります。できるだけ、そのような場所に行くことを避け、やむを得ない場合には、マスクをするとともに、換気を心がけて、大声で話さない、相手と手が触れ合う距離での会話は避ける、といったことを心がけていきましょう。このロゴマークは皆さんも家庭や職場で積極的に活用していきましょう。

 【3】 日常生活を営む上での基本的生活様式

上記にあげられた基本的感染対策を踏まえて、ここではさらに具体的に日常生活のシーン別での注意すべき事項を挙げています。

・買い物
 通販も利用
 1人または少人数ですいた時間に
 電子決済の利用
 計画をたてて素早く済ます
 サンプルなど展示品への接触は控え目に
 レジにならぶときは、前後にスペース

・娯楽 スポーツ等
 公園はすいた時間、場所を選ぶ
 筋トレやヨガは自宅で動画を活用
 ジョギングは少人数で
 すれ違うときは距離をとるマナー
 予約制を利用してゆったりと
 狭い部屋での長居は無用
 歌や応援は、十分な距離かオンライン

・公共交通機関の利用
 会話は控えめに
 混んでいる時間帯は避けて
 徒歩や自転車利用も併用する

・食事
 持ち帰りや出前、デリバリーも
 屋外空間で気持ちよく
 大皿は避けて、料理は個々に
 対面ではなく横並びで座ろう
 料理に集中、おしゃべりは控えめに
 お酌、グラスやお猪口の回し飲みは避けて

・冠婚葬祭などの親族行事
 多人数での会食は避けて
 発熱や風邪の症状がある場合は参加しない

ご覧のように、様々なシーンにおいて具体的な事例が挙げられています。また、現在まで日常生活の中で当たり前のように行われてきた事柄や、社会生活のなかでの交流の手段として楽しみとなっていた事柄も含まれているとお感じになると思います。しかしながら、各場面で共通意識を皆さんがお持ちになることで、混乱やトラブルを避け、日常生活における行動変容を社会全体として実行していくことが重要です。

 【4】 働き方の新しいスタイル

最後の項目として、特に職場における行動変容の具体例が挙げられています。もちろん、業種や職種などにより働き方のスタイルは様々に異なります。実際の業種ごとの感染拡大予防ガイドラインは、関係団体が別途作成する予定であるとされておりますので、各々参考にされてください。ここでは全体としての方向性を示したものになります。

・テレワークやローテーション勤務
・時差通勤でゆったりと
・オフィスはひろびろと
・会議はオンライン
・名刺交換はオンライン
・対面での打ち合わせは換気とマスク

ここでは「新しい生活様式」について述べてきました。実際に上記のような「行動変容」を行うに際しては、様々な困難が伴うこともあり、努力が必要です。ただ、これは私たち自身の健康と生活、そして私たちの大切な家族、友人、同僚の健康と生活を新型コロナウイルス感染症から守るために必要な努力です。一人ひとりが社会の構成員としての自覚を持ち、「新しい生活様式」を実践していきましょう。

参考:厚生労働省HPより