V-1) 基礎疾患をお持ちの方へ
普段から様々な理由で医療機関に通院をしたり、お薬を常用されたりしていらっしゃる方は多いと思います。その中でどのような方が、今回の新型コロナウイルス感染症の蔓延状況において、特段の注意が必要なのでしょうか。
今回、厚労省が特に注意すべき対象者として、受診の目安を「咳や発熱など軽い風邪の症状があれば」と修正して呼びかけているのは、以下に挙げる方々、あるいは以下の基礎疾患をお持ちの方々になります。
・糖尿病
・心不全など慢性の循環器疾患
・肺気腫など慢性の肺疾患
・透析を受けている方
・免疫抑制剤や抗癌剤の投与を受けている方など、免疫が抑制された状態にある方
・妊娠中の方
・高齢の方
このような方々は、新型コロナウイルスに感染された場合、相対的に重症化のリスクが高いとされています。(中国、武漢からのレポートによると、新型コロナウイルス感染症により死亡された方々のなかで、50%の方に高血圧、次いで25%の方に糖尿病の基礎疾患がありました[1]。繰り返しになりますが、受診の目安となる症状があれば、各都道府県の帰国者・接触者相談センターへご相談ください。
上記には具体的に挙げられていませんが、基礎疾患として気管支喘息をお持ちの方も多くいらっしゃると思います。米国疾病予防管理センター(CDC)は、気管支喘息も新型コロナウイルス感染が重症化するリスクのある基礎疾患として、注意喚起しています。また、慢性の肝臓疾患をお持ちの方も併せて注意喚起されています。
他にも様々な基礎疾患をお持ちの方がいらっしゃいますが、ここで挙げられた疾病をお持ちの方だけが注意しなければいけないわけではありません。皆さんが感染予防対策をしっかりと講じていただきたいと思います。
そして、重要なことは基礎疾患そのものの病状を安定させておくことです。推奨されている食事、生活習慣を可能な範囲で守るようにしてください。現在の常用薬を用法、用量を守ってしっかりと継続し、勝手に薬を中断したり、減量しないでください。もし薬の処方が必要な場合や、病状が変化された時はかかりつけの先生にすみやかに相談するようにしてください。
1. Xie, J., et al., Clinical Characteristics of Patients Who Died of Coronavirus Disease 2019 in China. JAMA Netw Open, 2020. 3(4): p. e205619.