麻疹(はしか)ワクチンの申し込みについて第2報

2024-04-30 更新

  • 本郷保健センター
  • 柏保健センター
  • 駒場保健センター

 現在麻疹ワクチンが全国的に不足しています。医師診察の上、麻疹ワクチンを希望された場合、通常ですと取り寄せ次第(4-5営業日以降)接種可能ですが、現在オーダーしても入庫に時間がかかる状況が続いております。

麻疹ワクチン2回接種は定期接種(費用対効果が高く集団免疫の効果も期待できるため、国が小児に無料で接種しているワクチン)となっており、2回ワクチンを接種することで生涯の免疫が獲得できるとされる疾患です。例年輸入感染症として、局地的な流行が報告されていますので、2回の接種が済んでいない方、麻疹にかかったことのない方は接種いただきたいワクチンです。風疹(3日はしか)・水痘(みずぼうそう)・ムンプス(流行性耳下腺炎・おたふく風邪)も麻疹同様、定期接種の疾患で2回ワクチンを接種することで生涯の免疫が獲得できるとされる疾患ですので、あわせて接種記録の確認、抗体価の測定や接種をご検討ください。

 麻疹ワクチンは、麻疹単体のもの(保健センターでは1本5000円)と、麻疹・風疹混合のもの(保健センターでは1本8000円)の2種類があります。別途診察料(学生以外100円)がかかります。現在麻疹単体ワクチンの流通量がほとんどない状態となっていますので、麻疹のみご希望の場合でも、麻疹・風疹混合(MRワクチン)の接種を行っています。MRワクチンについては、202451日より従来通り費用をお支払いいただいて取り寄せを行いますが、通常より時間がかかる可能性があります。また複数名の待ちが生じた場合、業務上・医学的必要性によって順番が前後する可能性がありますことご了承ください。トラベル・実習で必要な方が優先となり、すでに2回接種済みの方、抗体価が足りている方の接種は後回しとなります。

 

<フローチャート>

麻疹に罹患したことがある→接種不要だが、抗体価で本当に麻疹だったかを確認することが望ましい。

ワクチン接種回数

  ・2回の記録がある → ワクチン接種不要 (抗体価測定し不足時には本人希望で接種も可)

  ・1回のみ記録がある→ 抗体価(IgG)の測定   → 16以上(EIA法)       → 接種不要

                                                                        → 2.0-15.9EIA法)           → 1回追加接種

  ・記録なし・不明           → 抗体価(IgG)の測定   → 16以上(EIA法)       → 接種不要

                                                                        → 2.0-15.9EIA法)           → 1回追加接種

                                                                        → 2.0未満(EIA法)       → 2回追加接種

<麻疹概説>

 はしか、Measlesともよばれる病気です。10-12日の潜伏期ののち、2日間風邪のような症状がでて、その後39度以上の発熱と発疹が出ます。空気感染をするため感染力が強く、免疫を持っていないと90%以上が発症します。様々な合併症がありますが、肺炎(5-10%)・脳炎(0.1%)などが原因で死亡する例(0.1%)もみられます。また、麻疹罹患後7-10年してから発症し6-9か月で死亡する亜急性硬化性前脳炎(SSPE)という合併症も10万人に1人とまれながらみられます。麻疹罹患後1か月程度はほかの疾患に対しての免疫が働きにくい状態となるためそれによる合併症も多くみられます。

 ワクチンを2回接種することで生涯免疫を獲得できますが、ワクチンが1回のみの接種の場合など免疫が不十分な場合には、修飾麻疹とよばれ、潜伏期間が長くなったり発疹が全身に出ないなど、軽症ながらも発症する場合があります。感染力は弱いですが周囲への感染源となります。

 日本では1972年10月1日以降に生まれた方は定期接種が1回行われており、1990-1999年度に生まれた方は追加接種として2回の接種が、2000年度以降に生まれた方は定期接種で2回接種となっています。これを機に自分のワクチン接種回数をご確認いただき、上記フローチャートに沿った対応をお勧めします。

ワクチンは弱毒株の生ワクチン(毒性や感染性を落とした体内で増殖するワクチン)です。2回接種の際には1か月以上の間隔をあけます。妊娠中・妊娠の可能性のある方・免疫不全状態にあるかた・3か月以内に輸血/グロブリン製剤を使用した方・27日以内に生ワクチンを接種した方・13日以内に新型コロナウイルスワクチンを接種した方は接種できません。よくある副反応は発熱(20%)や発疹(10%)、接種部位の腫れがあります。まれながら重篤な副反応としてアナフィラキシー(頻度不明)、脳炎脳症(1/100)、急性血小板減少性紫斑病(1/100)がありますが、麻疹発症時に比べると頻度がけた違いに少ないため接種を強くお勧めします。

<今回の麻疹のニュースについて所感>

 今回は新型コロナウイルス感染症以降あまりなかった、麻疹の輸入感染症ということ、同じ飛行機内での感染、新幹線での移動など影響範囲が多くなっていること、新型コロナ感染症の影響か麻疹ワクチンの接種率が低下していること(2009年以来初めて2021年度は95%を下回っています)などから、ニュースとなっています。ただ、新型コロナウイルス感染症以前は2014年(日本での報告数;367人)、2016~2018年(同;毎年150人程度)、2019年(同;630人)と、輸入感染症から国内でクラスターを形成して麻疹が広まるケースはほぼ毎年報告されています。全世界では、東南アジア(フィリピン、インドネシアなど)や中東、インド、中央アジア、アフリカではまだまだ多い感染症です。人的交流が多い中、今後も麻疹が流入してくることは間違いありません。これを機に皆様がご自分の麻疹ワクチンの接種状況を把握していただき、一時的にワクチンが不足気味ですのでお待たせするかもしれませんが、必要な人が確実にワクチンを接種していただくことで、東京大学に所属する皆様の健康を守ることができればと思います。個別のご質問については、保健センター内科を受診いただければ医師から説明させていただきます。なお、麻疹患者との接触を疑う方は受診前にお電話でご相談ください。

<より深く知りたい方への参考サイト>

①厚生労働省:https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/kenkou/kekkaku-kansenshou/measles/index.html

②国立感染症研究所: https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ma/measles.html

VPDを知って子供を守ろうの会: https://www.know-vpd.jp/index.php


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